負けない子供たち (詩)(2003年03月31日 (月) 18時54分)

ねぇ あの娘何をまってるの
両手を繋いで歩ける日
想いは閉じた絵日記の中
日付は今日も待ちぼうけ

ねぇ あの子どこに行くの
悪口陰口 聞こえないとこ
壁が相手のサッカーボール
話相手のゲーム機つれて

忘れられた子供たち   いつまで待たされるのか
はじき出された子供たち どこまで歩かされるのか

おーいガンバル子供たち 僕の声が聞こえるかい
おーい負けるな子供たち 少し先を歩いてるよ

大人と子供の曲がり角で 君たちの方を振り返る

恋する前に裏切られ
君らに少し重過ぎる

あの娘とあの子が会える日が この先きっとあるだろう
だから負けずにとぼとぼと
この角曲がって行くからね

非常口 (詩)(2003年04月09日 (水) 17時15分)

欲望が百円ショップより安く手に入るクラブでの
楽しみながら傷ついていることに気づいたころ

食肉センターの前 トレーラーの荷台の上

ウォーンという声 あの肉たちの声が聞こえ
フロアの無数の牛の目が一斉に僕を見つめた

激しく入れ替わる光 その中での非常灯の明かり
それは唯一の希望だった気がする

非常口の走っている人の絵 示す矢印は
結局 学校に連れ戻してくれた

そこでも 非常灯は唯一の頼みとなり
廊下の端の非常口を見上げているのだが

走っている人の絵は 片足しか踏み出せずに
今日も逃げられずにいる

金魚(セルフレポート#1/5)(詩)(2003年04月04日 (金) 18時27分)

金魚すくいの楽しみは
金魚を獲ることだろうか
針金の骨格にピーンと張られた
一瞬をそっと水のなかに浸して
原色の小さな命との戯れ
破れそうな期待が運ぶつかの間の恋のような

そんな贅沢を父は僕に許さなかった
ダメな息子にあきれたあなたは
金魚すくいの親父に金を渡して

そうして袋の中に入った3匹の金魚は
まわりの小さな視線を集めて
僕の胸をすり抜け闇の中に泳いで行った

お父さん

僕の水槽には何匹もの獲り逃がした金魚が
ちょっとだけ薄い紙の上に乗って逃げていった思い出こそが
ふさわしいんです

ダメな息子にあきれたあなたは
金魚すくいの親父に金を渡して
僕の将来を袋の中に入れてもらう

何も期待にこたえられずに
金魚になった僕は
あなたをすり抜けて行くしかないのです



負けない子供たち (詩)(2003年03月31日 (月) 18時54分)

ねぇ あの娘何をまってるの
両手を繋いで歩ける日
想いは閉じた絵日記の中
日付は今日も待ちぼうけ

ねぇ あの子どこに行くの
悪口陰口 聞こえないとこ
壁が相手のサッカーボール
話相手のゲーム機つれて

忘れられた子供たち   いつまで待たされるのか
はじき出された子供たち どこまで歩かされるのか

おーいガンバル子供たち 僕の声が聞こえるかい
おーい負けるな子供たち 少し先を歩いてるよ

大人と子供の曲がり角で 君たちの方を振り返る

恋する前に裏切られ
君らに少し重過ぎる

あの娘とあの子が会える日が この先きっとあるだろう
だから負けずにとぼとぼと
この角曲がって行くからね

スペースモンキー (詩)(2003年05月16日 (金) 00時41分)

きのこ狩りの少年少女が
自分の墓穴を掘る音が
木々に木霊する森
刹那

掘り出したのは
哲学者の頭蓋骨
眼の穴から飛び出した
彼の蛇も
咬み跡は残したが
毒はすっかり薄まって
安酒同然

ガリレオが亀の甲羅の上で
何もいわずに見上げた夜空と
何も変わらない今日の星

抽象を脱ぎ捨て全裸になった君
暗闇に中に客観の匂い
絡み合って生を生きると
ガラスの果実に裸の猿

ダーウィンをロケットに乗せて
僕たちは森に帰えろう

15才の宝石 (詩) (2003年05月11日 (日) 01時31分)

可愛そうにあの娘は
自分の優しさに傷ついていく
他人はそれを宝石のようだと褒め称え
その重さに押しつぶされそうだ

どこかで思いやりが少し光ると
そんな自分を責めたりする
でもそれはガラス玉

つけいる奴がサソリのように
石の下で眠ってる世の中

本物は貸し金庫の中
めったに身に着けはしないのに

誰か早く教えないと

あの娘は

自分の優しさに殺される

男が見つけたもの (超短編小説) (2003年05月03日 (土) 23時49分)

 昔ヨーロッパで。

 発明好きの男が、美しい婦人に恋をした。
彼女に近づくため男は毎晩頭を悩ませ、やが
て当たり前のことに気がつく。
 「何もしなけりゃ何も起きない」
 その言葉をノートに記し、彼女の元へ向か
った。

 婦人の周りには見た目が逞しい、貴族や軍
人たちが取り巻いていた。痩せている男には
とても勝ち目がなさそうであった。男はいつ
でも誰よりも早く婦人を訪ね、婦人の頼みに
は一番早く応えてやった。
 誠意が伝わり晴れて婦人のボーイフレンド
になる。
 「体格の分は、足で稼げる」
 ノートにそう付け加えた。

残念なことに、誠意も婦人の気まぐれの前
では長くは続かなかった。婦人の心は別の恋
へと移って行く。
 あれほど愛した婦人に憎しみさえおぼえた。
「愛した同じ大きさで憎しみも湧く」
 そう記しノートを閉じた。

季節はやがて秋になる。

傷心から立ち直れない男は木の下に座って
たった今目の前で起きたことを、自分の失恋
とだぶらせて考えていた。
 突然別の疑問が男の頭にひらめき、ノートに
書き込みを始める。
 男の足元には、熟れて落ちたリンゴが転がっ
ていた。

「スネ夫」作品集<3

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