勝手にピエロ #1(その他)(2003年03月12日 (水) 16時37分)

勝手にピエロ  #1 ピエロになった少年
 ある町に大きなサーカス。空中ブランコにライオン使い、いったいだれが人気者?
一番は笑われる者。人間の世界ではそういうこと。人間は生き物の王様で笑うの
は人間だけ。かってにそう思いこんでいる。鳥達は気にしない。
 サーカスならピエロが一番。かってに僕は思いこむ。だってこれはぼくの話し。そうしないとこれからこまる。だれも別に気にしない。
 だけど一人の少年がやっぱりピエロと思いこんだ。サーカス一の人気者に、ならなきゃならないと思いこんだ。(理由はそのうちわかるはず、しばらくポーカーを楽しもう)
 少年には夢がある。もちろん少女にも夢がある。夢には2つの種類があって、1つは寝ながら見る夢でこれは毎晩見れる夢。空を飛んだりお菓子の城で、会いたい人
といつでも会える。本の中の人でも思い出の中の人でもいつでも自由にやってくる。
 もう一つは起きて見る夢。これはちょっと高くつく。努力と勇気の切符がいる。だれが
そう決めたのか。学校で教えてくる。たぶんそうだったと思う。残念ながらぼくの手元には人の使った切符だけ。
 ところがこの少年はなぜか切符を持っていた。サーカスの団長にピエロのにしてくれと頼みこんだ。ところがこの団長さん背がたりないとかなんとかと少年の話を上の空。いつでも大人は子供の夢を、こんなかんじでさまさせる。
 こまり果てた少年はとぼとぼと一人公園を歩いていた。そこに一人のギター弾き。この男はなかかかの物知りで他の大人とちょっと違う。
 「ギター弾きさん 教えてもらいたいんだ」
ギター弾きは鼻のかかった声でこういった。もちろんギターを少し鳴らして。
 「ねぇ 君 世界が1つになったらいいと思わないかい? ハハッ ぼくはただの夢想家さ」
もちろんそれには賛成だけど少年はそれどころではない。
 「もちろんさ。だけどその前にピエロになりたいんだ!!」
ギター弾きは少ししらけたかんじで丸いメガネを触って言った。
 「ねぇ ここにギターがあってどうすれば音楽が始まるんだい?」
この少年アタマの回転はすごく早い。まるでここの管理人さんみたい。
 「ありがとう」
手を振りながら走り出す。
 さっそくサーカスに戻った少年。ピエロに必要なモノを探しはじめる。ピエロの楽屋の裏で伝説のピエロだけが乗れると言う青いボールを引っぱり出す。染みのような模様があってロンリープラネットと書いてある。さっそく試しに飛び乗る少年だけどそれはむちゃと言うものぼくがいつもやらかすやつ。勇気とはちょっと違う。ボールは少年を振り落とし外に向かって転がり出す。少年はボールを追いかける。
 普通こんなカンジで物語は転がりはじめる。だけどぼくは考える。ぼくにもいろいろ生活があって少しばかり恋もしたい。時間もそれほどある訳じゃない。続けるべきかやめるべきか・・・・?
 西洋にはこんな時とても便利な言葉がある。ONLY HEVEN'S KNOW.たまには天国も役に立つ。

キツネと遊ぶ日 (詩) (2003年03月25日 (火) 18時54分)

プランターを運ぶ 君を見つめているけど
さぼってるわけじゃない
花の名前を覚えられないからって 
ふざけてるわけじゃないんだ
僕とキツネについて 君に話したい気分

おもちゃに見とれて 迷子になった日
ばあちゃんがキツネのことを教えてくれた
おぅおぅ かわいそうに
この子の中にはいたずらキツネが住みよる
気つけんと悪さをして心をどこかに隠しよる
おおごとじゃ おおごとよ

ばあちゃんの言うこと ウソではなかった
テレビの前 ページをめくるとき キツネがやって来る
そんなときのキツネはご機嫌で 勝手に遊んで帰って行く

でもね ある暑い夏の日 一人の女の子に見とれてたら
キツネの仕打ちはひどかった けっきょく半分しか僕の心は見つからなかった
そして夜の町で ああ どうしよう 僕の心は穴があいていて とっても軽くなっちゃて
キツネが遠くまで引きずっていってしまい ボロボロで曲がってた ごみ箱に捨てるわけにもいかず
まだギプスがとれてないんだよ

でね 君のエプロンについてる花粉なんか見てたら気づいたんだけど
またキツネに隠されてしまった 困ったなぁ
まじめに働くから 怒らないで聞いてほしい
一緒に探してくれないかなぁ 僕の心

さよならが聞こえる (2003年03月20日 (木) 18時23分)

そんなん聞かれる筋とちがうわ ほなね
好奇心は夏の日の川辺
無邪気な時を流して行った

そばにいてくれる人がまだ 必要じゃない
朝食のテーブルの上
さりげなく湯気を立てた

かならず迎えにくるから  待っててね
部屋の灯りが夜中
もう一度だけついた

川の流れ
沸いていくコーヒー
静かに入るスイッチ

もう一度耳をすませてみるべきだ
耳を塞ぐ前になら

ありふれた小さな音から
だんだん大きくなっていく

(詩)(2003年04月18日 (金) 19時14分)

鍵をなくした小さな子供
どこに行こか何して待とか
夕暮れの空静かに燃えて
空回りするペダルをこいだ
あてがあるのか白い仔犬
真っ赤に染まって走って行くが

誰に尋ねりゃ見つかるだろか
あの時なくした冷たい鍵よ
夢を数える夜だけつづき
たどり着いたよきままな今日に
一人の食事テレビの音が
あの日と同じこごえる部屋さ

ジェラシーキッド(セルフレポート#2/5) (詩)(2003年04月16日 (水) 18時40分)

太陽と死 人は見つめられないという
少年は  女の彼氏から目をそむけた

堕ちていくように浮き上がる高層エレベーターの中
心をかくして平気なふりをする

歓迎の匂いがドアの前からただよいはじめ
少年は歯ぎしりを始めずにいられない

言葉が
三人の間を回り始め
ゆっくり やさしく とてもぎこちなく・・・

やがて少年が恋をして 少しだけ許しはじめた頃
女は少年と男を置いて
エレベーターより高い階段を昇っていった

日中まぶしすぎて見つめられない太陽も
やがては夕日になり少年の目にも美しく映えるのだが
それは暮れ行く一瞬の出来事で

夕焼け小焼けで 小さなやけど
母を想うと   疼きだす

無花果 (詩)(2003年04月14日 (月) 19時21分)

庭の無花果が 爺さんの生きがい
収穫を待って 一年たそがれ

熟れていく喜び いつ食べたろか
宴は明日だ  唾を飲み込む

翌朝ハサミを持った 爺さんの前
小鳥達がついばむ その無花果

美味しい季節は 皆が狙う

出遅れたのさ しくじったのさ
もどれないぜ 待つしかないぜ

爺さん
来年またどうぞ
生きていればの話だが

非常口 (詩)(2003年04月09日 (水) 17時15分)

欲望が百円ショップより安く手に入るクラブでの
楽しみながら傷ついていることに気づいたころ

食肉センターの前 トレーラーの荷台の上

ウォーンという声 あの肉たちの声が聞こえ
フロアの無数の牛の目が一斉に僕を見つめた

激しく入れ替わる光 その中での非常灯の明かり
それは唯一の希望だった気がする

非常口の走っている人の絵 示す矢印は
結局 学校に連れ戻してくれた

そこでも 非常灯は唯一の頼みとなり
廊下の端の非常口を見上げているのだが

走っている人の絵は 片足しか踏み出せずに
今日も逃げられずにいる

金魚(セルフレポート#1/5)(詩)(2003年04月04日 (金) 18時27分)

金魚すくいの楽しみは
金魚を獲ることだろうか
針金の骨格にピーンと張られた
一瞬をそっと水のなかに浸して
原色の小さな命との戯れ
破れそうな期待が運ぶつかの間の恋のような

そんな贅沢を父は僕に許さなかった
ダメな息子にあきれたあなたは
金魚すくいの親父に金を渡して

そうして袋の中に入った3匹の金魚は
まわりの小さな視線を集めて
僕の胸をすり抜け闇の中に泳いで行った

お父さん

僕の水槽には何匹もの獲り逃がした金魚が
ちょっとだけ薄い紙の上に乗って逃げていった思い出こそが
ふさわしいんです

ダメな息子にあきれたあなたは
金魚すくいの親父に金を渡して
僕の将来を袋の中に入れてもらう

何も期待にこたえられずに
金魚になった僕は
あなたをすり抜けて行くしかないのです

「スネ夫」作品集<2

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