小さな別れ、人生の分かれ目 (詞)(2003年03月20日 (木) 09時31分)

雨はバケツを返したように
滴は瞬間(とき)を認めるように
激しく 優しく 地面を濡らし
駄菓子屋の軒は懐かしく
煙草の煙が消えていく

ヤクザになると言った友
のし上がっていけるとも

夜空の星を見るみたいに
夢は笑って見てあげたい
彼が 静かに 覚悟を決めたってこと
止めることはできず
ぼくはただただ笑うだけ

自分で決めろと言ったぼく
やって行けるさが少し酷

これきりだと言った友
お前の人生に響くとも
もちろんだと言ったぼく
もう子供じゃないが少し酷

思い出はバケツを返したように
小さな別れ 人生の分かれ目

あぶくのように (超短編小説) MAIL (2003年03月18日 (火) 07時47分)
みさきに恋をしたとき
おれは浮かれてて
おれの服はぼろぼろだったにせよ
繕うためのミシンもなく
不安などは微塵もなかった

ところがみさき
十歳の誕生日にろうそくを吹き消し
二十歳の誕生日にはケーキをぶん投げた
おれの恋は不穏にはじけた
あぶくのように

やがて絶望の看板がはす向かいの空き地に立った
「談判しなさい、自らの生命に」
公園で遊んでいる子供の仕業だった

おれは神様へのツケをはらって
とっとと都会のほうに逃げた
なんだか 気が知れなかったんだ

気づいたのは車で大きな川を渡っていたとき
明日こそが満月だった
完結に向かって、朝焼けの摩天楼を目指した

ふいに川の真ん中で何かが動いた
おれはなんだか怖くなった
おれは川面をじっと見つめたが
そいつはただのあぶくだった

しかしおれはどうして良いものかわからなかった
昔のおれをどう捨てて良いものかわからなかった
ところでおれはフライドポテトを買った
ポケットの砂利銭が尽きた

おれは途方に暮れた
そんなとき女に声をかけられた
みさきに似ていたので
その人と寝た
情熱がうずまき
あぶくのようだった

彼女はストリップバーで脱いでいた
オーナーがステージを拭いていた
おれはその仕事を貰った
手には ひどい匂いが染みついた

ストーブの前でうずくまっていると
彼女が一冊の本をすすめてきた
昔、市ヶ谷で切腹した人が書いた
告白本だった
 
告白には詩が添えられていて
それは炎が輝くように
ひたむきな詩だった
おれはその詩の中に溶け込んだんだ

やがて真冬の季節がやってきて
凍てつく風に晒されて
おれは新人のボウヤに仕事を乗っ取られたのだが
「私はみさきじゃないのさ」
と、彼女が海賊の口調でおれにいい
おれは国に帰ることにした
あぶくのように

好き 投稿者:きくまん(詩) MAIL (2003年03月17日 (月) 10時35分)

★好きだよ 本当に
あなただけ 好きでいる
ここにいる そばにいる
疲れたあなたの肩に
頬をそっと置いとくね

長い坂をくだるとき
空が赤く染まっていて
あなたの自転車のうしろ
こんなに素敵な場所はないね

いつもみたいに笑ってる
お給料が入って
ご飯食べさせるって
喜んでるけど
私ならどっちでもいいの
いつでも一緒にいれるなら
いつでも好きでいれるから

★好きだよ 本当に
あなただけ 好きでいる
ここにいる そばにいる
震えるあなたの指先に
手をそっと置いとくね

あなたを好きだから
不安を口にして
あなたの笑顔が
さびしくなるけど
ほんとにごめんね

二人の写真を眺めてる
覚えているよ 楽しかったこと
忘れちゃったけど つまらないこと
これからもいろいろあるね
これからも好きでいたいね

★好きだよ 本当に
あなただけ 好きでいる
ここにいる そばにいる
濡れてくあなたの頬に
唇をそっとよせとくね
  

  春の夜の公園で
  あなたと私の花を選んで
  怖いぐらいの運命に
  そっと静かに添えるよ
  また、どこまでも長く
  赤く
  どこまでも伸びていく
  いつもの
  坂をくだるから

★好きだよ 本当に
あなただけ 好きでいる
ここにいる そばにいる
あなたは私の
大切な人なんだから

春に捧げて (詩)(2003年03月16日 (日) 07時59分)

> ビルの屋上で
> そろそろ
> 終わってしまおうかと思って
> 目を上げていて
> あなたの顔が
> 思い浮かんだ
> ちょうどそのとき
> 闇と闇の間に星が砕け落ちてた
>
> 吹き付ける
> 冷たい夜風に
> 紛れて誘う
> 一日の影
>
> 誰もいない真夜中に
> 座り込んで
> 虚しさにとらわれすぎて
> 一人で沈む
>
> 怖いことは
> ぼくが煙になって失うこと
> すべての思い出も
> あなたの思いも
>
> ★開いた掌を埋めた
> 黄金色の稲穂
> 一つ前の季節に零れた
> あなたの笑顔
> 目を輝かせ 
> 「綺麗ね」と言った
> 砂が滑り落ちてく
>
> (間奏)
>
> 春に捧げて
> 陽が登り始めた
> いつかまた来るということ
> 繰り返す空の
> 悲劇を受けて
> この足は迷うことを待っている
>
> ★開いた掌を埋めた
> 黄金色の稲穂
> 一つ前の季節に零れた
> あなたの笑顔
> 目を輝かせ 
> 「綺麗ね」と言った
> 時が滑り落ちてく
>
> 誰よりもあなたを
> 愛しているけど
> 花に朝が染みていく
>
> ビルの屋上で
> そろそろ
> 終わってしまおうかと思って
> 目を上げていて
> あなたの顔が
> 思い浮かんだ
> ちょうどそのとき
> 闇と闇の間に星が砕け落ちてた

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